気象病 -1
何も決めず小説を書く。展開も人物もその時の気持ちに委ねてみる。いつ終わるのか、終わっていいと思うのか、終わらせたいと思うのか。自己による自己のための不定期更新実験的書き物。
タイトルは「気象病」
「今日も頭が重いなぁ」
ベランダの手すりにぽつぽつと音が響く。
「おはようございます。7月17日金曜日、今日の天気は雨のち曇りです。それではよい一日を。」
ベッドの下から話すGoogleアシスタントを毎朝煩わしく感じる。
もう聞きたくないと思いながら同じ声を明日も聞くだろう。
男物のバスパンに指をかけ、洗面台の前に立つ。
今朝も自分の目つきが冷たく、悲しく、誇らしく思う。数秒自分と見つめあうと
左手で鏡に写る目を隠した。
長い髪を手早く結び、ため息をつく。
勢いよく蛇口から流れる水を伏し目で見下ろす。
「よかった。今日も低気圧だ。」